BtoBとBtoC 前編

2016/12/03

投資




「B to B」と「B to C」は簡潔に言えば「企業向け取引」と「消費者向け取引」という意味です。主にビジネスやマーケティングで使われる用語ですが、株式投資にも活用することが出来ます。


一般的に言われているように「BtoB」は企業対企業の取引です。そのため、基本的に取引量や件数が多いですが、内容が詳細に伝えられない場合もあります。その典型例がiPhoneに関するアップルと部品供給業者の取引です。
累計販売個数が10億個を超えると言われるiPhoneは、例え極一部の部品であったとしても上場企業の株価を左右するほどの影響力を持ちます。しかし、アップルは秘密主義の企業として知られているため、例えばこのような記事が出た場合にようやく市場へ影響が出てきます。

このような事情もあり、「BtoB」の取引が多い企業は専門でない投資家には予測が難しく、難易度の高い銘柄と言えます。そのため、よほど専門知識が豊富な投資家でなければ、BtoB企業は避けた方が賢明でしょう。
かの著名なウォーレン・バフェット氏が用する投資会社バークシャー・ハザウェイも「分からない分野には投資しない」方針からハイテク株の取得は行ってきませんでした。

※ただしバークシャーは2016年5月16日に981万株ほどアップル株を購入しています
しかし、専門知識が必要で参入障壁が高い銘柄ほど、高いリターンも期待できるため、専門知識を保有するならば、かえって狙い目の銘柄と言えます。

次に「BtoC」の企業についてですが、まずどんな企業が該当するか説明しておきます。
簡潔に言えばテレビCMや量販店で商品を見かけるような企業のことで、普段消費者としてよく知っている企業の大半がこれにあたります。しかし、BtoC取引の多い企業の宿命としては、株価が上がったとしても一過性で終わるパターンが多いです。
消費者に情報が分かりやすい分、投資家にも情報が回りやすく、ヘッジファンドにも喰い物にされがちです。
あえて例を上げるならばポケモンGOブーム時の任天堂<7974>がその典型例です。ポケモンGOのDL数などのニュースが出回った結果、一時的に株価が高騰しました。
しかし、その収益が期待した程ではないことが分かると、ヘッジファンドなどの大口投資家が売り抜けて株価は高値圏から反落しました
投資初心者が損失を出す場合の一つとして、上記のようなBtoC企業に安易に手を出してしまって大損を出すというパターンがあります。BtoB企業に比べればBtoC企業は難易度が低めですが、それでも中級者向け以上の銘柄です。

ここまで読んでこられた方々は「じゃあ初心者はどっち買えばいいんだよ」という感想をお持ちだと思います。私のオススメとしては「BtoB&BtoC均衡企業」です。
均衡といっても5:5ということではなく、どちらにも振れる程度の規模があるという意味です。「BtoB&BtoC均衡企業」を勧める理由としては、BtoBがあれば取引先からの信頼が高いと言え、それに加えてBtoCのシェアも持っていれば、経済状況によってBtoBとBtoCの調整ができるためです。

「取引先」は実際にインサイダーと認定される人物を除けば、最もインサイダーに近いステークホルダーです。「従業員じゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、上場企業ともなれば役員除く従業員1人が知ることのできる情報などはごく一部です。
「取引先」は日々の取引や提案などから、具体的な数字で企業の状態を知ることが出来ます。BtoB取引が多い、あるいは増えているということは、企業がその「取引先」から信頼を得ているということであり、投資家としても安心することが出来ます。
しかし、「取引先」との取引は業界の個別事情などに影響される他、普段の取引額は逆に変動しづらいです。しかし、BtoC取引はそれはそれで、急激に収益を得ることが出来る可能性があるものの、景気やブームなどの影響で変動しやすく不安定です。
そのような状況を加味すると「BtoB&BtoC均衡企業」こそが最も安心できる企業です。
好景気やブームの時はBtoBの余剰人員や生産力をBtoCに振り分けてより利益を高める事が出来、不景気の時はBtoC分野のコスト削減に努めて安定しているBtoB取引に注力することが出来ます。そのためよほどのことが無ければ長期保有するだけで安定して株価が上がっていきます。初心者の方にはこのような銘柄を探すことをオススメします。

【執筆:T.I.】