ルペン氏が負けてもリスクな仏大統領戦

2017/03/05

投資


今の海外市場は次のビッグイベントであるフランスの大統領選で、極右候補であるマリーヌ・ル・ペン氏が一番人気を走っていることに気を揉んでいますが、現在時点では決選投票で負けそう…ということで落ち着いているようです。

(そもそも第一回投票が通りそうな時点で安心出来ない気がしますが)

ルペン氏はEU離脱や関税政策などを既に公言していますから、リスクを気にするのは当然ですが、実はルペン氏が落選した場合でも非常に大きなリスクを背負う可能性があります。

それはルペン氏が第一回選挙で落選した場合です。
何故ならば、決選投票の候補2人の支持率が拮抗していた場合、行き場の無い極右の票を取り込もうとしてどちらかの候補が、EU離脱の国民投票の実施を公約する可能性があるためです。

実際に、イギリスのEU離脱の国民投票も、保守党が与党に返り咲く為の人気取りとして行われたものです。その結果、保守党も労働党も分裂したことから分かるように、EU離脱は極右の専売特許ではありません。
左派だろうが中道右派だろうが掲げる可能性があり、掲げれば大統領になれる…という状況でそれを我慢することは不可能でしょう。

フランスの大統領選挙は最大2回行われる仕組みになっていて、第一回投票で過半数を得る候補が出なかった場合に決選投票が日を置いて行われます。
この決選投票がそれなりに日程を空けて行われるため、第一回選挙後に公約を新たに掲げることが容易です。

最近は言われなくなりましたが、少なくともイギリスのEU離脱決定の直前の時は、イギリスよりフランスの方がEU懐疑派が多いという調査結果が報告されていました。
ルペン氏の支持が20数%近くあることを考えれば、決選投票でEU離脱を公約すれば勝利はほぼ確実です。

『フランス野郎が右ばっか気にしてたら後ろから殴られた』とイギリスに笑われる日が来るかもしれません。


【執筆:T.I.】