スコットランドの独立は前回より望み薄

2017/03/20

雑記

 


イギリス全体のEU離脱のための明確な動きに合わせて、スコットランド自治政府も独立に向けた動きを見せているようですが、仮に2度目の住民投票を行ったとしても、前回よりも厳しい結果が予想されます。

その一番の理由はイングランドから独立した場合のEUとの関係の不安定さです。EU規定では、域内で新たに独立国が発生した場合、EU加盟国とは見なさないという、明確な規定があるために、イギリスから離脱してもEUに残れないことになります。

前回の住民投票でもそれがネックになりましたが、今回でも同じです。また、国内に深刻な独立勢力を抱えるスペインなどにとっては、EU離脱を利用すれば独立が出来るという前例を作りたくなく、スコットランドのEU加盟に猛反発することは必死です。

イギリス連邦から独立し、さらにEUにも残れないとなると、安全保障上の問題が発生することは誰の目にも明らかです。また、スコットランドが独立を失う原因となった、イングランドの執拗な嫌がらせが再開することも予想され、経済的にもかなりの打撃が予想されます。
となれば、何が何でもEU残留の確約を欧州委員会から取り付ける必要がありますが、実質的には新規加盟なので、現加盟国全ての承諾が必要となり、上に挙げたスペインの反対の他、イギリス政府による日に陰にの工作でそれ以外のEU加盟国の反対も起こり、難航することが予想されます。

また、「どうせEUに残れないなら独立投票はもっと後でいいじゃないか」という声も起こりやすく、投票を早期に強行すればスコットランド現政権の支持率低下にも繋がります。かといって、独立に向けた動きをしなければ独立強硬派の支持が下がるため、かなり難しい舵取りが必要となります。

私的な解決策としては、独立に向けた投票はするとして、投票の日付を10年後や20年後にすることが現実的な策であると思います。これならば強硬派も穏健派も反対はしづらい他、イギリス政府にもあまり睨まれず、EUに対しては独立予定ということで交渉を続けることが出来ます。

何にせよ、北海道程度の規模しか無い国が、ロシアやテロリストが幅を利かせるこの時期に、独立をする意味は全く無いので、早めに現実的な策を提案することを期待します。


【執筆:T.I.】