「買収」や「合併」といったワードは、株式市場においてある種のお祭りワードです。
特に上場企業同士の合併ともなれば、株価が動かない方が稀です。となると気になるのは買収や合併が株価に良い影響をもたらすのかですが、基本的には買収や合併はシナジー効果(相乗効果)を期待して行うものなので、リストラやコスト削減策と同じく、株主にとっては有用な経営政策といえます。
したがって、買収や合併に積極的な企業は買いです。
ただし、過ぎたるは及ばざるが如しという言葉があるように、積極的なのにも限度はあります。
家電業界大手の(株)ヤマダ電機【9831】は東証一部上場以来、同業他社の買収を繰り返し、業界一位となりましたが、不採算店も大量に抱えたために結局は大量閉店に追い込まれました。もちろん同業他社を買収して邪魔な店舗を撤去するというのも買収戦略の一つではありますが、店舗閉鎖の恩恵は残った同業他社にも恩恵があるのでフリーライドの恐れがあります。
実際に長期(10年)で株価を見てみると、ヤマダ電機よりも同業他社の(株)ケーズホールディングス【8282】の方が株価が順調に伸びています。
これはほぼ確実に、ヤマダ電機が買収の為に費やした費用に対してケーズデンキがタダ乗りしてきた部分が多分にあると言えるでしょう。
買収は基本的に1+1が2と買収費用以上にシナジーがあれば良いと言われていますが、ゲーム理論的な面から見て買収先以外の企業の動向も考慮に入れる必要があり、なかなか難しい案件と言えますが、かえって読み切れれば大量のリターンを期待でき、大きなチャンスと言えるでしょう。
【執筆:T.I.】
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