決算と損益計算書についての見方

2018/04/28

投資

 


決算の時期、ともなれば悲喜交交の様々な結果が発表されることになるます。実務家からすれば決算を見る時に重要視するのは、


売上>原価・費用>利益

の順かもしれませんが、株式投資家にとって大事なのは、

利益>原価・費用>(キャッシュフロー)>売上

の順になります。


これは上場企業ならどこでも出しているIR情報から取ってきた(株)コーエーテクモホールディングスの損益計算書のデータです。かなり省略されていますが、上場企業の膨大な会計情報を考えれば、仕方のないことでしょう。キャッシュフロー計算書の方が詳細なことがありますので、詳細情報はそちらで確認するという手もあります。

まず、売上高についてはその会社の規模を示す程度のもので、単独ではあまり役に立たないデータです。さらに増減していても四半期データ比較程度ではあまり役に立ちません。
例えば上記のコーエーテクモのようなゲーム業界の場合、タイトルのズレなどで売上が四半期をまたぐということはよくあることだからです。

重要なのは「売上原価」と「販売費及び一般管理費」です。この2つは厳密には全く違うものですが、軽い分析ならば一緒くたにしても構いません。これらは「この期間の収益を達成するためにどれほど金を使ったか」ということです。この2つは単独のデータとしても役立ちます。ただし、増減よりも売上に対する比率の方が重要です。

基本的には低ければ低いほど良いとされていますが、「売上原価」はその名の通り、売上に直結する費用ですので削減するにも限界があります。しかし逆を言えば「売上原価」を減らせている場合は、なんらかの方法でのコスト削減や市場環境の好転などのしっかりした理由があるということになります。それに対して、「販売費及び一般管理費」は一時的に減らしたように見せかけることも可能な数値ですので、継続して減っていっているかが重要です。

上記の損益計算書で見てみると、売上高が22,542から24,199と1,657しか増えていないのに対し、売上原価は13,158から14,933と1,775も増えているので、売上高1辺りの売上原価は増えてしまっています。
これはよりコストがかかっているということで良くない兆候です。
別の資料と突き合わせてみると、会社側が「先行費用を計上した」と書いているので、それの真贋が重要となってきます。対して、「販売費及び一般管理費」については売上高に対して減っているので、継続した傾向なら良い兆候と言えます。

「経常利益」が重要なのも、先程の売上と原価に対する考え方と似たようなもので、経常利益において加算される収益は、収入に対して費用や手間が著しく低いので、経常収益が多いほど労せず収入があるということで、株価にはプラスになるのです。
上場企業ならば大体は株式サイトが分析してくれますが、それを参考にしつつも独自の分析を加えればより良い効果が得られます。


【執筆:T.I.】