HOTワード解説『利上げ』

2016/11/05

投資




2016年も残す所あと2ヶ月のみ、今年は良くも悪くもアメリカの利上げに左右された年と言えるでしょう。そこで今年を振り返る意味で、利上げとは何なのか解説していきたいと思います。

利上げとは大雑把に言えば

「中央銀行が金利を引き上げる」

ことを意味します。
中央銀行が金利を上げることで、一般の銀行が貸し出す時の金利も上がりますので、企業の設備投資が減ったり、個人消費が衰えたりします。悪いことばかりのようですが、それでも中央銀行は利上げをしなければならないある使命があります。
それは

”物価の安定”

です。
過度な利下げを続けると、企業や個人の金回りが加速し、物が物を、金が金を呼ぶ状態になります。ある程度までなら、経済が円滑に周るということで良いことなのですが、一定ラインを超えると物価が一気に上昇することが金融関係者には知られています。原因は色々と言われていますが、一番分かりやすいロジックとしては、

物価が上がる
→低金利で借り入れて購入
→さらに物価が上がる
→ 仕方なく低金利で借り入れて購入→もっと物価が上がる
→ 買わないと会社がやっていけないので借金で購入
→もっと物価が……

というもののようです。
物価が上がりすぎて、企業が必要不可欠なものまで借入金で購入しているような状況になると、中央銀行は利上げによる物価政策のタイミングを失ってしまいます。
利上げによって支払い金利が増えて企業業績が悪化する他、銀行などが貸し渋りを行いやすくなるためです。そのような状況にならないようにするために、中央銀行は事前に利上げを検討するのです。
現状では日本やヨーロッパはそのような兆候は見られませんが、アメリカは例外で利上げをすべき時期が近づいていると言われています。利上げをする時はアメリカの場合だと、フェデラル・ファンドレート(FF金利)を誘導することで行われます。日本の場合は”無担保コール翌日物金利”というものが使われます。

ある種で「利上げ」は経済の正常化のために行われることです。ですが、企業業績や個人消費に悪影響があるのも事実です。利上げはいわば経済の”必要悪”なのです。
今年散々焦らされたように、正常な中央銀行ならば利上げは突発的に起こるものではありません。利上げという必要悪に耐えられるように普段から体力を付けておくことが最も重要です。

【執筆:T.I.】