”電気”自動車という大失敗例から考える燃料電池”車”の普及

2017/02/21

交通


 

今世紀が燃料電池の時代になるということはほぼ間違いありません。
高い発電効率と高い汎用性で、例えば自動販売機に電源が不要になったり、下水処理場が発電所になったりの社会変化をもたらすでしょう。
発展途上国でも先進国でも大活躍が期待される燃料電池ですが、自動車の分野においても燃料電池が普及するかはまだ分かりません。


何故ならば、「電気自動車」という普及失敗の大先輩がいるからです。

ご存知の通り、現代は電気無しでは成り立たない生活です。その中で電気自動車という存在は100年以上前から存在していましたが、電力網が発達している先進国でも普及しませんでした。
例外はフォークリフトくらいですが、そのフォークリフトも燃料電池式のものが初期費用以外は上位互換なのでアメリカでは数万台規模でFC式が普及しています。
現在でも、バッテリー式ではなく日産のノートe-POWERのような実質ガソリン車の方が好まれる辺りかなりの電気自動車不信が残っていると言えます。

電気自動車が普及していないのに、このような電気自動車不信が蔓延しているのは、電気が当たり前にある社会だからこその、他の電気製品での経験が無意識にあると思われます。
例えば、旅行先で携帯電話のバッテリーが切れただとか電子レンジが爆発しただとかです。
自動車は信頼性が何より大切な製品なので、こんなちょっとした不信でも重要です。
幸い、燃料電池車には上記のようなバッテリーの問題はありません。
しかし、今度はガソリンと比べた場合の水素の燃料としての信頼性が問われることになります。

実を言えば気体である水素よりもバッテリーの方が遥かに炎上・爆発しやすいです。

電池は衝撃が加わっただけで発火・爆発の恐れがあるので、自動車事故においてEVが炎上する可能性が高いことはテスラですら認めています


ただし、ガソリンよりも燃料電池の信頼性があるかどうかは微妙です。
ガソリンは漏れれば事故現場に溜り続ける可能性がある代わりに、気体ではないので搭乗者の周りに蔓延することはありません。

このようなガソリンと比べた場合の信頼性バッテリー自動車の危険性をアピールすることが、燃料電池"車"の普及の鍵となるでしょう。


【執筆:T.I.】