あれを買おう、これを買おう、株を買おうという時に、どの企業を買えば良いのか困っている方は多いかと思います。
特に株で成功するためには、銘柄選びが最も重要となります。ただし、それは銘柄さえ見極めれば個人でも大成功を収められるという事の裏返しでもあります。(銘柄を選べるだけの資金力は必要ですが)ここではその銘柄選びにおいて注目すべきであるワードを一つずつ解説していきます。
※なお、本稿における「銘柄選び」は株価の上昇を目的とするものであって、配当重視での「銘柄選び」の仕方は解説しません。また、テクニカルや企業指標の解説なども行いませんのであしからず。
記念すべき一つ目のワードは『燃料電池』です。
近年は燃料電池自動車MIRAIやエネファーム等の普及によって、一般的にも名前が知られてきましたが、それでも難解なネーミングが理解できるほど燃料電池について理解している方は少ないように見受けられます。
ここではその燃料電池について、銘柄選びに必要なポイントだけを抜き取って解説していきます。
ポイント1:収益性
燃料電池は幅広い企業の収益性に貢献します。収益性が向上すれば当然ながら株価にはプラスになります。
MIRAIで燃料電池を知ったという方は収益性と言われてもピンと来ないかもしれませんが、MIRAIはあくまで広範な燃料電池技術の一角でしかありません。まず、燃料電池は発電効率が高く、少ない面積で発電ができ、作動温度が低い、ため自前で電力を必要とする企業は大きくコストを削減することができます。
従来的なガスタービン発電などは大規模化しなければ効率が悪い上に高水準の防火設備が必要で、太陽光発電などは燃料を必要としないという利点はあるものの、実際に賄うには大量の地代や蓄電設備が必要でした。燃料電池による発電ならばこれらのコストをカットできます。
この利点を全面的に押し出したパッケージ製品はまだ多くありませんが、近いものとしてはブラザー工業<6448>の非常用発電機「BFC2-W700MH」が挙げられます。
72時間という長時間かつ小型でオフィスの壁などへの設置も想定しているこの製品は、上記の燃料電池の性質を最大限活かしたものと言えます。
現在はまだ小規模かつ非常用ですが、常設かつ大型化した類似製品が出れば自家発電を必要とする企業はこぞって購入することになるでしょう。
また、燃料電池での発電に必要となる水素は思わぬところで大量に発生する場合があります。
特に化学合成を行っている工場などでは、必ずと言っていいほど水素が発生します。
これらの水素は殆どの場合廃棄されているので、この水素を使って燃料電池で発電し、売電あるいは自家用に回すコジェネレーションを行うことで、収益性の向上が望めます。
実際に産業ガス大手の岩谷産業<8088>の創業者は工場などから廃棄される水素を見てビジネスを決意したと言われています。
さらに、燃料電池は風上だけでなく風下においても収益性に貢献できます。
廃棄された食品や汚泥処理過程のガスなどからも燃料となる水素を作ることが可能なためです。
これにより食品会社の収益性の向上はもちろんですが、汚泥処理システムと燃料電池発電をセットにしてパッケージ化することで、将来的には発展途上国などへのインフラ輸出においてのアドバンテージともなりえます。
この汚泥から水素製造モデルについては、三菱化工機<6331>や豊田通商<8015>が国土交通大臣賞を受賞しています。
収益性の向上は株価の上昇に直結するため重要な要素と言えます。
上記でいくつか挙げた燃料電池に積極的な企業は≒収益性の向上に積極的な企業と言えるでしょう。またこれらの燃料電池製品の導入をした企業も収益性の向上が期待できると言えます。
銘柄を選ぶ際はこのような企業を選ぶと良いでしょう。
【執筆:T.I.】
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